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「新世界より -中-」読了

【新世界より中:/貴志祐介】を読み終わった.小説読み始めると,何もかもすっぽかしてそればかりになってしまうのは悪い癖だな.
上巻の最後の危険な状態からの脱出から始まって,中盤は悪鬼と業魔の正体についての話と,倫理委員会や教育委員会といった大人の組織の人間が登場し,徐々に早季たちが大人に近づいていく様子が描かれる.

…というか,正直,上巻のネタバレを含まずあらすじを説明するのは至難の業だった.
以下ネタバレを含むので格納.

相変わらず,話の複雑さの割に状況はつかみやすい.思春期を迎えた早季たちの関係の変化は,現代社会から人間の常識がどんなふうに改造されたのかを良く表していて,単に心理描写以上の意味を持っているように思う.八丁標(はっちょうじめ)が存在する理由についての瞬の考えにははっとさせられる.ここにきて,神栖66町の周囲の生物が妙に合目的で悪意に満ちた進化を遂げた理由の一端が明かされたことになる.
また,薬物による記憶改変や尋問が普通に行われており,その理由が「17歳に達するまでは基本的人権は発生しない」という衝撃的な理由であることが判明する.これもなかなかに驚きである.確かに,基本的人権というものは結局は憲法や法律で保障されたものなので,それがこの町でも認められていなかったとしても不思議ではない.

最後の方に描かれるバケネズミの急速な進化には,人間社会の異常な在り方と合わせて,人間的なのはむしろバケネズミの方だという印象を抱いた.しかし人間がその人間性故に戦乱に至り衰退したことを考えると,バケネズミの急速な躍進は,最終巻で大変な事態を巻き起こすのではないかという予感を引き起こす.

この巻を読むと,早紀たちが段々と子供の世界から,大人の世界へと移行していくのが手に取るようにわかる.最終巻では,きっと大人の側に立った早季たちの話になるんだろう.もう本自体は買ってあるので,はやく最後まで読んでしまおう.


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