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単語作成プロセス(テルミン)

ひょんなことからテルミンって単語を作ってみよう!と思ったので自分なりのプロセスを書いておこう.

まずテルミンについて調べる

テルミンは元々ロシアの楽器で,ロシア語だとТерменвокс(チルミンヴォークス)に近い発音の物らしい.近接レーダー研究の副産物として生まれた代物で,大々的に広まっているわけではないが熱狂的なファンが居る…という代物.簡単なものなら自作できるらしい.ということは,電子工学の下地が無いと維持できないが,そこまで高度な技術や設備は必要ない訳だ.

テルミンがどういう由来でイジェール王国に入ってくるか考える

イジェール王国は宇宙移民船団の末裔で,そのルーツは地球にある.なので,出港時点ではテルミンについて知識はあっただろうし,物好きが1台くらいは持ちこんだり作ったりしてるだろう.とはいえ,その後混乱期が訪れて,過去の記録とはこの時期に殆ど断絶している.生きるのに必須ではない上,ピアノやヴァイオリンの様に社会的ステータスに結び付くわけでもないテルミンがこの時期を生き残れるとは思えない.という訳で,「地球に居たころからの慣習でもともとある」という説はなくなる.

長いのであとは続きで

由来が決まったので,具体的な名前の意味を考える

とすると,テルミンが再び登場するのは社会が安定してきてからなので,言語がある程度安定してきてからだろう.そこで,基本語彙を基に複合語としてテルミンを作ることを考える.テルミンが持つ要素のうち,命名に関わる可能性がある要素は色,形,構成,機能などである.このうち,色や形は物によって著しく異なるため,テルミンの場合語源になり得ない.そこで,機能を基に命名することを考える.機能は音を出すことなので,出てくる音を基に命名するパターンと,音を出す原理から命名するパターンが考えられる.例えば「金切声を出す楽器」として「金切箱」のような命名は考えられる.一方,原理を考えると,テルミンは前述のようにレーダーの基礎的な技術が用いられている.そこで,例えば「レーダー楽器」のような命名も考えられる.この場合,「楽器」を省いて「レーダー箱」のようにすると,レーダー関連の何かに聞こえるので,ここは省けない.

イジェール語の命名の癖を考える

さて,ここでイジェール語が傾向として,何から命名するのが好きかということを考える.「形から名前を付けるのが好きな言語」,「色や香りから命名する言語」,「機能から命名する言語」など,ある程度言語ごとの傾向というのはあるはずである.かなり特徴的な形状があれば,どういう言語でも一般的傾向を無視して形状から命名するということは考えられる.しかし,それ以外の単語ではその言語の好み(「らしさ」とも言える)を基に命名されるだろう.

イジェール人は基本的に人為的か人為的でないかを区別する一方,自然と人工を区別しない傾向がある.これは,人工環境の上にシミュレートされた自然環境で長期間生活してきた影響である.彼らにとって,自然由来か人工物かなんてどうでもいいことである.この性格が何に影響するかというと,例えば構成物質が同じであれば,建材であっても自然の物であっても名称が同じになるという傾向が考えられる.「コンクリートでも自然の岩盤でも,石は石である.何が違うんだ?」というのが彼らの命名基準になる.これを基に考えると,彼らは「本質的に何からできているか」に興味がありそうである,つまり,構成要素や機能の構成から命名する可能性が高い.

以上のことを踏まえて,2番目の「レーダー楽器」という方向性で命名することに決定する.

構成部品となる単語を考える

具体的に分解していくと「電気探査楽器→電気+探査+演奏+道具」となる.「演奏」「道具」あたりは基本語彙だろうから,地球に居たころからの慣習(つまり英語あるいは日本語からのある程度規則的な変化)を基に命名する.問題となるのは「レーダー」の名前である.宇宙船に乗って星を探しながら航海している以上,レーダー技術は保有しているはずなので,「レーダー」という単語は借用語ではなく自前だろう.かといって,基本語彙ではないので,おそらくイジェール語の基本語彙を組み合わせて作ることになる.そこで,参考のために現実の複数言語での「レーダー」の名称を調べてみる.

  • 英語:「電波探査走査」の頭文字からなる略語
  • ロシア語:英語そのままの文字だけ訳,あるいは「電波位置探査のステーション」みたいな命名
  • ドイツ語:英語そのまま借用
  • 日本語:英語そのまま,あるいは電探(電波探針器)

こんな感じである.「電波」「探査」は外せなさそうである.また,どうしても名前が長くなるので省略形が存在するのが普通の様だ.そこで,最終的には「電気」+「波」+「演奏」+「道具」の方向で行こうと思う.ここまで来るとどれも基本語彙なので,あとはちゃちゃっと作って完成である.結局 ding+uiva+kisdare+rukからdinguivagisrukになった.この過程で「楽器」はkisdare+rukから省略されてkisrukになっている.

これは「楽器」と「金管楽器」を英語で調べたところ,

  • 英語:楽器 music instrument → 金管楽器 brass instrumentのようにmusicが略される
  • 日本語:「楽器」がそもそも音楽器具とか何かの略になっている為か,複合語で「楽器」がそれ以上略されることはない

という傾向が見られたため,イジェール語では日本語同様「演奏道具」を略したものを「楽器」とすることに決めたためである.

ちなみに,それでもdinguivagisrukは長すぎるので,外来語としてterminが入って来て両方使われる… というのが今回の造語のオチである.

労力と時間

23:00から作り始めて,紆余曲折あったものの完成したのが00:47なので,1時間47分かかった.その結果,「テルミン」「波」「レーダー」「捜す」「楽器」あたりが造語できたので,1単語だいたい20分で作れたことになる.まあ上々でしょう.


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